円とユーロが固定相場に

こんな夢をみた。

フランス中を巡る長い旅の途中。今はプロヴァンスに逗留している。乾いた、美しい土地。青すぎる空と海。

ここしばらく、円とユーロが固定相場制に移行することが世間をにぎわしている。巷では、今の1ユーロ=135円程度から多少ユーロ高になるものと見られている。

珈琲男は面白い立場にある。この旅を続けたままの状態で、同時に新しい為替レートを決める日本とEUの委員会にも属しているのだ(夢のなかの状況設定はいつも突然かつめちゃくちゃだ)。

しかし、実際にはこの委員会には一切出席していない。だから、委員会での議論は、一切承知していない。委員会の仕事をしないことを、誰からも咎められることはない。そして、旅を続けながら、この委員会の正式なメンバーではあり続けている。

今日はその為替レートが初めて公式に発表され、同時に発効する日。

一応委員会のメンバーだから、発表の場となったプロヴァンスの教会に足を運ぶ。太陽が燦々と降り注ぐ、開放的でとても大きな教会。委員会のメンバーが勢揃いしていて、みんな白の麻のスーツできめている(と、自分もそれを着ていることに気づく)。

久しぶりに会う委員会のメンバーの日本人とは、やや遠慮がちにぎこちない挨拶を交わす。全く委員会には顔を出さなかったわけだから、一応ばつが悪い(ことになっている)。

横では、メンバーの一人である日本人が、「さっき、少しユーロを買っておいたんだよね」とにやついている。珈琲男はここで初めて、実際に多少ユーロ高になることが決まったことを察する。この日本人の話しぶりからすると、1ユーロ=140円くらいになるようだ。しまった、ユーロを買っておけばよかったと、ここで自分の不明を反省する。

委員長が、記者に囲まれながら、正式レートを発表する。


「本日より、1ユーロを200円とする。」


教会中がどよめく。と、同時に、みんながユーロを少しでも早く買うべく(為替レートが実際に世間に認知されるまでにはほんのしばらく時間がかかる、ということになっている)、携帯で外の人間と大声で話しながら、全速力で教会のドア目がけて走り出している。委員会のメンバーもあわてふためいて走っているから、彼らにも全く意外な発表だったらしい(じゃあ、何の委員会だったんだ、というつっこみはある)。

珈琲男も急いでユーロを買うべく、教会の大きな階段を駆け上がる。

と、ふと、思い直す。

これまで1ユーロ=135円程度で散々フランスを楽しませてもらった。だから自分は、みんなが今から享受するかも知れない為替差益を、もう先取りして受け取ったということではないか。お金としてではなく、もっとありがたい形で。


走るのをやめたところで、目が覚めた。

2009/07/04(土) | フランスの夏 | トラックバック(0) | コメント(0)

iPhone 3GS 発売開始

留学開始直後にiPhoneユーザーになって以来、肌身離さず持ち歩くガジェットになった。ここフランスではローミング代が馬鹿にならないからプリペイド方式の安物携帯を使っているけど、車でPodcastを聴くのにiPhoneが大活躍中。

スティーブ・ジョブスが2007年1月のマックワールドでiPhoneを発表したとき、彼は全世界の携帯電話市場で「たった」1%を獲得できれば1000万台のiPhoneが売れるとして、2008年末までにこれを達成するとぶち上げた。Appleは実際にこれを数ヶ月前倒しで達成してしまう。

つい先日にはiPhone 3GSが発売になった。端末の性能も随分と向上したみたいだけど、このところのアプリケーションベンダーの参入ぶりがすごい。今年4月のAppleのニュースリリースによれば、App Storeには35,000ものアプリがあり、既にダウンロード数が10億にも達したのだそうだ。

OS3.0になって導入された新しい仕組みの一つにアプリ内課金(App-Purchase)があるが、これで更にアプリベンダーがiPhone向けのアプリを開発するインセンティブが高まったことだろう。携帯ゲーム端末としてDSやPSPと、電子ブックリーダーとしてAmazonのKindleやSONYの端末と勝負する先が面白い。

iphone2.jpg

まさにiPhoneは、クリティカルマスを越え、ネットワーク外部性が働く競争における勝ちパターンに入っているようだ。スマートフォンとしては後発のAppleがiPhoneを発売するにあたっては、随分と戦略を練り込んだことだろう。

ちなみにフランスでもiPhone 3GSが発売された。街ではこれを売り込む携帯ショップを頻繁に見かける。と、日本やアメリカとはやや違った風景にすぐ気づく。複数の携帯会社がiPhoneを売っているのだ。

あれ?Appleって国別に特定キャリアに独占販売をさせてるんじゃなかったっけ?と思ってたら、フランスでは競争評議会(日本の公正取引委員会に相当)が、Appleとフランステレコム系のOrangeとの国内独占販売契約を無効だと裁定を下した結果、全携帯キャリア(Orange/SFR/Bouygues Telecom)がiPhoneを販売するに至ったのだとか。

2009/06/29(月) | MBA(INSEADにて) | トラックバック(0) | コメント(0)

フランスのBBQ

お隣の旦那さんが庭越しに、珈琲一家をバーベキューに誘ってくれた。ここの男の子とは珈琲Jr.がいつも遊びたがっているし、全く飾るところのないとても感じのいいご夫婦なので、二つ返事でこのお誘いを受けた。

翌晩。隣の家の門をくぐると、既に小さなバーベキューグリルの中で炭がいい感じに燃えていた。珈琲Jr.は早速子供同士でじゃれあっている。

フランスではバーキューの定番はステーキよりもむしろ細いソーセージなのだそうだ。いくつか種類があったけど、スパイスの効いた辛めのソーセージをメルゲーズ(Merguez)というのだそうだ。

フランスのごく一般家庭の飲み物を教えてあげるといって、最初に出してもらったのが、パスティス(Pastis)。主にスターアニス(八角)などの薬草から作られたお酒だそうで、南仏で特によく飲まれる食前酒なのだとか。ウイスキーみたいな琥珀色で、45度ほどある。これを氷と水で割って飲むのだという。水で割ると白濁する。結構くせのあるにおい。

次から次からじゃんじゃんソーセージが焼かれる。奥様お手製のクスクスとミントのサラダも新鮮そのもので美味しい。珈琲妻が持ち寄ったカリフォルニアロールも好評のようだ。横で奥さん同士が今度一緒に料理をしようなどと話している。と、次に持ってきてくれたのが、白ワイン。なんでも彼らの実家近くで蔵出しのものを安く買ってきたのだとか。

最後のしめは、チーズを数種類と奥様お手製のチェリーのタルトと強めのリキュール。

翌日から一週間、北の海岸にバカンスに出掛けるのだとか。本当に人々が豊かに暮らす国だ。

2009/06/25(木) | フランスの夏 | トラックバック(0) | コメント(0)

ロング・グッドバイ

これまで一度も手に取ったことがなかったレイモンド・チャンドラー。中でも最高傑作ともいわれるこの本を村上春樹が訳したのを知り、ずっと読みたいと思っていた。

ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)
(2009/03/06)
レイモンド・チャンドラー

商品詳細を見る

徹夜で600ページ超を一気に読んでしまった。ハードボイルドなりミステリー小説を電車の暇つぶし程度に捉えがちだった自分の不明を恥じるほど面白かった。それから村上春樹のあとがきが50ページを越える随分と熱のこもったもので、チャンドラーに対する珈琲男の理解を随分と広げてくれた。

ハードボイルドといえば、映画007シリーズ。6代目ボンド役を務めるダニエル・クレイグの評価が随分と高いようだ。「カジノ・ロワイヤル」「慰めの報酬」の両方を観たが、冷徹さと激しい感情を持ち合わせた人間くさいボンドがいい。

ハードボイルドって、精神的・肉体的にタフで任務は冷徹に遂行するが心の芯には優しさを持ってって、だから当然の結果として女にモテる・・・、そんな探偵やスパイが活躍する話、くらいに認識していた。一般的なイメージもそれから遠くないだろう。

"If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive"(「強くなければ生きられない。優しくなければ生きていく資格がない。」)とは、チャンドラーが主人公の探偵、フィリップ・マーロウに語らせるあまりに有名な台詞だ。

が、どうもハードボイルド(小説)の本質、というものはそうではない、と筒井康隆が「筒井康隆の文藝時評」の中で主張しているのだそうだ。

http://d.hatena.ne.jp/yomoyomo/20050214/hardboiled

『ハードボイルドの主人公=非情と思われやすいが、そうでなく、非情なのは作者のパースペクティブなのだ。』なるほど。めちゃくちゃ面白い。

語り手=主人公=作者が、どんな状況でも感情や主観に流されることなく、その状況を、自分の感情を含めて客観視し続ける、そんな「パースペクティブ」こそがハードボイルド小説をハードボイルド小説たらしめる本質だ、ということだろう。

村上春樹も「ロング・グッドバイ」のあとがきで、やや観点は違うものの、この「パースペクティブ」を『フィリップ・マーロウという「視線」による世界の切り取られ方』という別の表現で解説している。

こう考えると、筒井康隆がいうところの「ハードボイルド」を、映画の世界で実現する、っていうのは随分と難しそうだ。

2009/06/25(木) | MBA(INSEADにて) | トラックバック(0) | コメント(0)

ロゼを見直す

INSEADでの大きなテストが終わる。朝からみっちり3時間。このテストも含めて、INSEADとWhartonには随分と大きな違いがあるなと感じる。またそれは別の機会に。

昼過ぎに帰宅。解放感と天気に誘われて庭で昼食をとることにした。

ロゼ

「サントリー・サタデー・ウエイティング・バー AVANTI」のポッドキャストで田崎真也氏が、フランスの夏はロゼです、といっていたが、確かにフランスのあちこちで冷えたロゼを楽しむ人々をよく見かける。ということで、どれどれとロゼを買ってみる。カルフールで6ユーロ。これでもカルフールのロゼのコーナーでは随分と高い部類に入る。棚には2〜3ユーロのロゼが溢れている。

キンキンに冷やしたロゼは確かに美味しい。ロゼっていうとなぜかやや赤や白に比べて低く見られがちだけど(何でなんだろう?)、いやいや旨いです。

ロゼ2

2009/06/24(水) | MBA(INSEADにて) | トラックバック(0) | コメント(0)

一勝九敗

MBA留学にあたって、とうかMBA留学をそもそも目指すかどうかを考えていたとき、いわゆるあたまでっかちにはなりたくないな、と思っていた。あたまの中でただ理屈をこねるのは自分の性分に合わないと思っていた。もっとも、こねる理屈の程度によっては自分の頭のスペックがそもそもついていかないものだとこの1年間で痛感したが。

抽象化された理論の一つ一つをいちいち頭にたたきこむというよりは、せいぜい理論の枠組みをごく大まかに理解しておくことで、実務の世界で物事をある程度包括的に考えられるようにすること、より正しい判断を早くすること、大きな判断ミスをしないこと、くらいが期待できればいいと思っていた。

という当初の思いに関わらず、実際にMBAの世界ではやぱっり経営理論がそれこそ洪水のように押し寄せてくる。特にコア課目でびしばししごかれる1年目はそうだろう。知識の大海に浮き袋もなく投げ出されたような感覚。大小の波のなかで大きなうねりを探りたいと思いつつも、日々おぼれないことに精一杯になりがちで、塩辛い海水を飲み込んではむせてしまうことしばしば。

でも一年も経つ頃には多少潮目を読むことも覚え、特定の事柄や課目については方位磁石を手にシーカヤックを漕いでいるくらいの状態にはなる。そうすると今度は知識の海をカヤックで航海するのも面白くなって、結構あたまにロジックが溜まっていく・・・。もちろん実務へのアプリケーションは常に意識にあるけど、ともするとカヤックに乗っていることそのものをを楽しんでる自分に気づいたりもする。

自己診断によれば自分はそんなタイミングにいると思っている。と、そんな矢先に読んだのがこの本。

一勝九敗 (新潮文庫)一勝九敗 (新潮文庫)
(2006/03)
柳井 正

商品詳細を見る

ユニクロを年商1兆円に迫るグローバル企業に育て上げた柳井氏が繰り返すのが、理屈をこねる間があればとにかくやって早く失敗してだめならさっさとやめろ、というもの。どうせ10回に9回はうまくいかないもんだ、と。書いてあることにはもちろんいろんな理屈があるけど、むしろ実践してなんぼだという。まさにその通りだろう。むずむずする。

MBAもまさに折り返し地点だということを改めて実感する。最初の半分が実務から一歩身を引いて理論の世界に浸り、自分を客観視する時間だったとすれば、残りの半分は実務への復帰準備と自分の主観を再確立する時期だろう。

2009/06/24(水) | MBA(INSEADにて) | トラックバック(0) | コメント(0)

子供にものを教える難しさ

買い物から家に帰る道すがら、隣町の広場にさしかかると何やら賑やかな人だかり。覗いてみると、地元のお祭りのようだ。ケルトらしき民族音楽が演奏されていることからすると、何やら歴史的・民族的意味合いがあるのだろうか。言葉が理解できないというのは何とももどかしい。

祭り8

お祭りといえば出店(でみせ)。日本のそれに随分と近い。

定番の射的あり(でも奥のお母さん、まるでハンターのような構えだな)、

祭り1

綿菓子やリンゴ飴あり。

祭り5

さすがにトウモロコシの醤油焼きと焼きそばはなかかったが。でも日本にはこんなのはないな。っていうか、みんな飛びすぎ。1回5ユーロと随分高めな料金設定ながら、10分ほども飛ばせてくれる。

祭り6

珈琲Jr.も挑戦するも、トランポリンで足を蹴り上げるタイミングがなかなか合わない。「そこでポーン」とか横でがなるも大したアドバイスにはなっていないらしい。何しろ10分もあるうえに直接彼のそばに近づけないから次第にイライラしてくる。と、あなたは教え方が下手なのよと、珈琲妻にたしなめられる。まあ確かにそうだったかも。

日本での出店の定番の金魚すくいならぬ、ガチョウ釣り。棒の先についたカギでガチョウの頭についた輪っかを引っかける。

祭り7

今度は気を取り直して手ほどきを試みる。まずは彼のやり方を冷静に観察。棒を長く持ちすぎている。短く持つようにと言い聞かせる。これはすぐに伝わる。よしよし。しかしどうも狙いが定まっていない。あちこちあてもなくガチョウを追い回している。狙いを定めるように、と言ってみるも、これは彼にはまだほとんど理解できない様子。狙いを定めるって何?うーん、その言い方では伝わらないか。どれがいいかなってまずよく見てからそれを追いかけるんだよ、と言い直す。少し伝わった様子。しかし、必ずしも彼にとって面白いやり方ではない模様。彼の中では、どうやったら上手くガチョウが釣れるかというのと、どうやったら遊びとして面白いか、というのが、珈琲男が当たり前に考えているようには合致しない模様。これは深い。しばし悩む・・・。

大抵の大人はこの出店を見た瞬間に、ガチョウをいかに効率的にたくさん取るのかというのがゲームのルールだと認識するだろう。ガチョウ釣り(=すなわち金魚釣り)が下手な子供にさせてなるかと、一生懸命教えようと力が入る。こういう小技が下手な男の子はモテない(はず)。が、そもそも彼の方ではこの遊びに全く違う景色を見ているのかもしれない。しかしそれをどこまで理解するべく彼の側に歩み寄ろうとするのがいいものか・・・。

うーん、悩ましい、というほど実際に悩んでいるわけもないけど、とにかく子供にものを教えるのは難しい。

2009/06/22(月) | フランスの夏 | トラックバック(0) | コメント(2)

「HOME」と「地球交響曲」にみる流通(distribution)戦略

日本では6月は「環境月間」であり、そして6月5日は「環境の日」。1972年6月5日にストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められたもので、国連はこの日を「世界環境デー(World Environment Day)」に指定している。なんでも日本とセネガルの共同提案を受けて定められたのだとか。

今年の6月5日の目玉はなんといっても、リュック・ベッソンのプロデュースによる環境ドキュメンタリー映画、「HOME」の公開だろう。

Home_200.jpg

全世界88カ国で一斉に映画上映やテレビ放映などが行われたそうだ。フランスでは映画館での無料公開、フランス国営放送France2での放送がなされ(珈琲男の家にはテレビがないから観ていないが)、パリではエッフェル塔の下の公園で野外放送された。日本ではユナイテッド・シネマ豊洲での上映やWOWWOWでの無料放映があたっと聞く。さらに写真集やDVDも発売されているそうだ。

Youtubeでも各国語での全編放映がされているとのことで、昨晩、英語版を見てみた。以下は同じくYoutubeにアップされた予告編。



全編が空撮だというこの映画は、ひたすら地表の姿を追う。最初は地球の原始をとどめる風景を。そしてカメラは次第に農業化、次に工業化や都市化がもたらした人間の所作による地球への甚大な影響を映しはじめる。重要なのは既に失われてしまったものではなく、今残されているものだと、そして人類にはいまの状況を変える力があると映画の最後にナレーターが語る。連続した驚異的な映像による、ストレートな作り。メッセージはシンプルにして明快。

昨晩の時点で、英語版はクリック数が約140万回と表示されていた。フランス語版は同120万回。この他に、ドイツ語版やロシア語版、さらにはアラビア語版があるようだ。日本語版は珈琲男が検索した限りではYoutubeにはないようだけど、日本語版DVDの発売との関係があるのだろうか。

全編約1時間半のこれだけの超大作(制作費は1,000万ユーロ=13億円だそうだ)が無料公開だというからくりは、PPRがスポンサーになっているというもの。PPRは主に流通小売業とファッションブランドを運営し、グッチ、イヴサンローラン、プーマなどのブランドを配下に治めるはフランスを代表するコングロマリット。ルイヴィトン、クリスチャン・ディオール、セリーヌどを傘下に持つLVMH、カルティエなどを傘下にもつリシュモンとともに、世界のラグジュアリーブランドを企業のトップ3の一角を占めている。

全編が空撮だというこの映像美あふれる映画を観ながら思い出したのが、「地球交響曲」

「ガイア・シンフォニー」とも呼ばれるこ日本のドキュメンタリーを知る人も少なくないと思うが、公式サイトを覗いてみたところ現在第七番までが制作されているようだ。監督は元NHKディレクターの龍村仁氏。その第一番が公開されたのは1992年。まだインターネットが爆発的に広がる数年前のことだ。

ダライ・ラマや星野道夫、そしてジェリー・ロペスといった「人」に焦点をあて、その「人」の考えや行為をつうじて「地球=ガイア」を感じようというものだった。多分に精神性の高いドキュメンタリーで、大学生のころ、それこそ人生観が変わるくらいの影響を与えてくれた、思い出に残るドキュメンタリー映画だ。Youtubeにダイジェスト版がアップされているのを久しぶりに観て震える思いがした。

このドキュメンタリーが日本各地で上映されてきたのは、主として自主上映という方式だった。有志が努力して上映にこぎ着けるという草の根活動。上映されて人々がこれを目にする機会が生まれるという結果もさることながら、上映までのプロセスやコンテクスト(文脈)が大きな重みをもっていた。なんといっても口コミ(word of mouth)が威力を発揮した流通形態だった。この映画が日本国外でどの程度知られているのかは珈琲男は知らないが、単純な映像ドキュメンタリーではないし、万人受けするものではないのだろう。

一方の「HOME」。公開前から世界的にプロモーションがなされ、かなりの関心を喚起していた。そして全世界一斉公開。全て無料。Youtubeへの全編掲載。上映までのプロセスに余計な意味合いなどもたせることなく、最大多数の視聴者に最短距離でメッセージを届ける豪快さ。最初から全世界の視聴者を相手にすることを見越し、映像の力に頼ったシンプルな作り。

珈琲男の好みは、その流通形態も含めて、正直「地球交響曲」だ。ただ、好みとかいうレベルを超えて、メッセージを全世界に低コストで届ける手段にあふれているこの状況は無視できないレベルにある。

これだけの手段が実は身近にあふれているにも関わらず、どうしてもメッセージの流通を国内に閉じた形でしか想定できない日本の現状がやや残念ではある。自分自身への自戒も込めて。

2009/06/21(日) | MBA | トラックバック(0) | コメント(0)

カレー万歳

珈琲と並び、しばらく口にしないと禁断症状が出はじめるのがカレー。インドでもバングラディッシュでもなく、日本のカレーライス。アメリカでは日本のイベントで提供すれば大好評、フランスでもパリのオペラ座界隈の日本食レストランの定番メニュー。みんなが大好きなカレーライス。

京都での大学時代、カレーハウスCoCo壱番屋で一日3食の修行を重ねた珈琲男だけに、カレーがないとなんともつらい。「足の裏が黄色くなるんだよね」と靴下を脱いでまで本当に黄色い足の裏を見せてくれた同郷の店長は今はどこで何をされているのだろう。

実家の母親が送ってくれたレトルトのカレー+カルフールで買った豚で揚げたトンカツ。正直牛肉はアメリカに軍配が上がるけど、豚はフランスの方が上ではないだろうか。トンカツというのは、アイスコーヒーと並んでカレーとの黄金の組み合わせだ。

カレー1

フランスのじゃがいもとマッシュルームは本当に最高。それらがたっぷり入ったカレーライス。今晩の夕食。

カレー2

2009/06/21(日) | フランスの夏 | トラックバック(0) | コメント(1)

Whartonのコア課目の教科書

すべての教科で教科書が指定されているわけではないし、指定された教科書のなかにも卒業後また開くことがありそうかといわれれば「?」のものもあるにはある。

一切waiveしないで一年目の全てのコア科目を履修した珈琲男の独断と偏見による、「良かったな」の教科書を紹介してみたい。

Matching Supply with Demand: An Introduction to Operations ManagementMatching Supply with Demand: An Introduction to Operations Management
(2008/07/01)
Gerard CachonChristian Terwiesch

商品詳細を見る

Q3とQ4のオペレーション関連の2つの課目で使われる教科書。著者の一人であるChristian Terwiesch教授にQ2でたまたま直接教わることができたのはかなりラッキーだった(コア課目でどの教授にあたるかは、完全に運頼みとなる)。このクラスの主題については以前ブログにも書いたけど、理路整然としたドイツ人らしいクラス運営が最高だった。単にリジットなだけではなくて、ユーモアのセンスも抜群だったし。彼が受け持ったクラスについては、学生の評価も概ね高かったように思う。

ファイナンスではもちろんこの教科書が素晴らしいけど、

Principles of Corporate Finance with S&P bind-in cardPrinciples of Corporate Finance with S&P bind-in card
(2007/10/09)
Richard BrealeyStewart Myers

商品詳細を見る

珈琲男は日本語訳だけでほぼ済ませてしまった。

それから、これはINSEADの戦略の看板クラス、Industry and Competitive Analysisの指定教科書だけど、ミクロ経済と戦略論をうまく組み合わせたとてもいい教科書だと思う。正直いままでで一番買って損がなかたっと思ってる教科書。一応日本語訳も出版されているみたい。

Economics of StrategyEconomics of Strategy
(2007/02/15)
David BesankoDavid Dranove

商品詳細を見る

Whartonではその他の課目のベースとなるという位置づけでミクロ経済をQ1で履修するけど、いまから思えば、実際に他の課目にどうリンクするかという点において改善の余地があるようにも思う。戦略論とがちっと絡めているINSEADのこのクラスは、Wharotonでも随分参考になるように思うんだけどな。

2009/06/21(日) | MBA | トラックバック(0) | コメント(0)

MBAの一年目で役に立った日本語の本

昨年7月に渡米するにあたっては日本からある程度本を持ってきたし、その後もそれなりにAmazon Japanではお金を使ってきた。この1年を振り返り、Whartonの一年目をサバイブするのに役に立ったな、という日本語の本を挙げてみたい。

<統計学>

完全独習 統計学入門完全独習 統計学入門
(2006/09/29)
小島 寛之

商品詳細を見る

ド文系の珈琲男の最初の関門がQ1の統計学だった。この本は統計学の基礎となるコンセプトを分かりやすく説明していて、ものすごく助かった。ちなみにこの著者はサイエンスライターとしてわかりにくい話をわかりやすく説明する天才だと思う。



<数学>

忘れてしまった高校の数学を復習する本―高校数学ってこんなにやさしかった!?忘れてしまった高校の数学を復習する本―高校数学ってこんなにやさしかった!?
(2002/09)
柳谷 晃

商品詳細を見る

分析的なアプローチが重要視されるWhartonでは、最初のQ1が始まる前に行われるプレタームで数学の試験が全員に課される。微積分までを含むほぼ日本の高校の数学の範囲だが、手を焼くのを見越して渡米前に買っておいたのがこの本。東京駅前Oazoの丸善で、受験生をもつとおぼしきお父さん方に混じって吟味しただけのことはあり、短期間で高校数学をおさらいするのにとても役に立った。理系の人には100%必要ないと思われるが。



<戦略>

ポーターを読む (日経文庫)ポーターを読む (日経文庫)
(2007/04/14)
西谷 洋介

商品詳細を見る


競争戦略論〈1〉競争戦略論〈1〉
(1999/06)
マイケル・E. ポーター

商品詳細を見る

Q2のCompetitive Strategyの基礎はやっぱりポーター。本がなくても全く困らないけど、戦略に興味があればもっておいて決して損はないと思う。ちなみに「ポーターを読む」の著者の西谷氏は、ポーターらが設立したコンサルティング会社、モニターグループの現東京支社代表にして、Whartonを卒業された先輩にあたる。



<ファイナンス>

コーポレート ファイナンス(第8版) 上コーポレート ファイナンス(第8版) 上
(2007/03/15)
リチャード・ブリーリースチュワート・マイヤーズ

商品詳細を見る

Whartonの超看板教授、フランクリン・アレン教授が著者の一人として名を連ねる、世界標準のファイナンスの教科書の日本語訳。上下巻があるけど、Whartonのコアのファイナンス(FNCE601)についていえば、上巻だけで事足りる。初めてファイナンスを勉強した珈琲男にとっては、目から鱗の連続だった。

道具としてのファイナンス道具としてのファイナンス
(2005/08/25)
石野 雄一

商品詳細を見る

もう一冊挙げるなら、この本がファイナンスの勉強をする準備体操としてとても役に立った。確かTuckの卒業生の方が書かれていたように記憶している。



<その他>

どの本がいいのかは分からないけど、巷に溢れるトヨタ本の中で適当なものが一冊あってもよかったのかな、と今にして思う。トヨタは戦略とオペレーションのクラスで頻出するうえ、日本人学生として発言を暗黙のうえちに期待されるプレッシャーもあるから。

それからこれは珈琲男の全くの趣味の世界だし、MBAの一年目のサバイブということにはほぼ無関係だけど、以前にもブログで紹介したこの本が、アメリカの根底にある思想を体系的に理解するのに少なからず役立つと思う。

集中講義!アメリカ現代思想―リベラリズムの冒険 (NHKブックス)集中講義!アメリカ現代思想―リベラリズムの冒険 (NHKブックス)
(2008/09)
仲正 昌樹

商品詳細を見る

この本はQ2のEthics and Responsibilityでもほんの少しだけ参考になるとも思うけど、やっぱりこの手の話に興味があれば、というところだろう。

2009/06/18(木) | MBA | トラックバック(0) | コメント(0)

チャン・キム教授によるブルーオーシャン戦略(ほぼ)個人講座(後編)

たまごっちプロジェクトの中間報告を静かに聞いて下さったキム教授は、せっかくの機会だからブルーオーシャン戦略をあなたがたに説明してあげようというと、紙にペンをがりがり走らせながら結局2時間近くマシンガンのように話し続けた。その説明は、終始ポーターの理論との対比によるものだった。

Structure Theory vs. Endogenous Theory
ポーターは産業構造が戦略を決めるとする構造主義者(structuralist)。それとは逆に、自分の立場は、内生的成長理論(endogenous growth theory)を重視し、むしろ戦略が産業構造に変化をもたらすとする再構築主義者である(reconstructionist)。フォードがT型フォードによってそれまで主流だった馬車を駆逐して新たな自動車産業を創り出してしまったという事象は、構造主義では説明できないでしょ、と。

Value maximization vs. Value creation/Innovation
構造主義者の発想は、所与の産業構造(とその構造が示す魅力度)において企業がいかに自社製品・サービスの価値を最大化するかにある(value maximization)。そうではなく、自分の発想はいかに価値を創り出すかにある(value creation/innovation)。

Within the boundary vs. Across the boundary
構造主義者が一つの産業の境界の中に閉じて戦略を考えるのに対して、自分は複数の産業をまたいで戦略を考える。

Profit vs. Growth
構造主義者は現在の環境における利益を求める。自分はむしろ次の成長を追う。

ここまでかちっと二つの理論を対比させたうえで、キム教授は、ポーターの理論と自分の理論は、対立の関係にあるのではなく、むしろ補完関係にあると繰り返し強調する。彼の説明を聞きながら、珈琲男も同じように考えていた。どちらの理論も戦略論として重要であり、二つを組み合わせて戦略を思考する必要がある、と。

要するに、彼の用語を使えば、レッドオーシャンにおける競争も重要であり、そこではポーターの理論が重要な示唆を与えてくれる。ただ、それだけでは戦略の半分が考慮されたに過ぎず、残りの半分はブルーオーシャンを創造するにあたって自分の理論が役に立つ、ということなのだろう。

(キム教授の説明を受けた後で「ブルーオーシャン戦略」を改めて読み返すと、確かにこれらの説明もきちんと書いてあるのだが、この本は理論書というよりもブルーオーシャンを創造するための手順を丁寧に説明するハウツー本に近いノリで書かれているために、さらっと目を通しただけでは理論的な背景がよく分からなかった。もっともこの本がこれだけ売れた理由もそこもあるのだろうが。)

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
(2005/06/21)
W・チャン・キムレネ・モボルニュ

商品詳細を見る


次第に熱を帯びてくるキム教授の説明を聞きながら、戦略論の世界でここ数十年来誰もなしえなかった、ポーターと同格の存在として認識されたいという彼の野心を感じないではいられなかった。

ただ、彼は同時に非常にリアリストでもあるようだ。曰く、一つの理論が広く認められるには、非常に長い時間がかかる、と。ポーターは僅か30代の半ばにして戦略論の世界で花々しいデビューを飾り、その後一貫して「競争」に着目して自らの理論を強化していった。自分が世間に注目されたのはタイミングとしては遅すぎた、とキム教授はいう。ただ、「ブルーオーシャン戦略」の共同著者であるレネ・モボルニュがポーターと並び賞される日が来るだろう、と。

どこか悟ったところがあるようなこの韓国生まれの教授に対して、自分のなかにふつふつと尊敬の念がわいてくるのを感じた何とも贅沢な2時間だった。日本企業の幹部がこぞって彼のコンサルティングを受けているそうだが、その説明の明快さと人柄に触れ、ああなるほどと納得。

明快な説明、といえば、彼が今回の(ほぼ)個人レッスンで語ってくれた高校生でも理解できるという「戦略」の定義はこうだ。

value: 企業は「価値」を創造することで
profit: 「利益」を生み出すのが使命であり、
people:それを実現するのは結局「人」である。

この3つをどうやってうまく結合させるのかというのが、戦略である。なるほど。人を忘れちゃあいかんよ、実際のところ戦略を実行するのは人だからね、と何度も繰り返されていた。

2時間のレッスンの後、たまごっちチームで記念撮影をパチリ。

ブルーオーシャン1

2009/06/18(木) | MBA(INSEADにて) | トラックバック(0) | コメント(0)

チャン・キム教授によるブルーオーシャン戦略(ほぼ)個人講座(中編)

ビジネススクールで一般的に教えられている課目はいろいろあるが、それが一人の学者に代表されているという意味では、ストラテジー(戦略論)は特別だ。いうまでもなく、戦略論を代表するのは、マイケル・E・ポーター

ポーター

彼が1980年代提唱し始めた理論が戦略論の基礎を形成し、世界中のビジネススクールのコア課目として教えられている。ファイブフォース分析、バリューチェーン、産業クラスター等々。Whartonでは、一年目のQ2(Competitive Strategy)とQ4(Global Strategy)に分けてケース&レクチャーでこれらを学習する。

彼は、産業組織論を応用することで戦略論を確立した。産業組織論(Industrial Organization、IO)とは、産業を対象とするミクロ経済学の応用分野。最も効率的な資源分配が実現する完全競争を理想型として、それが実現していないケースにおいてより望ましい資源分配の実現方法を考察する。ここでは、不完全競争の状態は、本来的に排除されるべきものとして取り扱われる。

ポーターは産業組織論を逆手にとって、競争が少なく資源配分に歪みがあるほど(不完全競争に近いほど)企業にとっては収益を上げやすく、競争戦略上望ましい状態であると考えた。その着眼点から理論を展開し、業界の構造と競争の要因(=ファイブフォース)が産業の魅力度を決定し、それに応じて企業は戦略を立案すべきと考えた。

業界構造を所与のものとして、自社の強み・弱みに合わせた「戦略ポジション」を築くことが重要であるとポーターは説く。「戦略ポジション」とは、トレードオフ(二者択一)なしには成立しない戦略上のポジション。分かりやすい例がポーターが基本戦略として挙げたうちの「低コスト」vs「差別化」だが(もう一つは「集中」)、ポーターはトレードオフの分類として、①製品種類ベース(どんな製品・サービスを提供するか)の選択、②ニーズベース(どの顧客グループのニーズを満たすか)の選択、③アクセスベース(顧客にアクセスするためにどんな活動システムを実現するか)の選択の3つを挙げている。

そしてポーターは、戦略とは、独自の価値あるポジションを創り出すことだと結論づける。要するに、トレードオフを突き詰め、他社とは違うことをせいと。

もっとも、この考え方に対抗して、いや、企業には人材、ブランド、技術といった経営資源や組織能力があり、それが競争優位の源泉だと主張する経営学者もいる。この立場を取る学者は、戦略ポジションよりも(例えばトヨタのような)組織能力は模倣されにくいという点で競争戦略上より重要だと説く。

ポーターはこれに対して、いやいやそれらの組織能力は結局のところオペレーション効率を上げているに過ぎず、経営ツールやテクニックによって十分模倣されうるものであり、生産性のフロンティアを突き詰めていけば、結局どの戦略ポジションを取るかという問題に行き着く、と主張する。

生産性のフロンティア

ポーターのアカデミックな世界における重要性の変遷は知らないが、現時点においても、彼が戦略論の世界で特別な地位を占めていることはどうも間違いないようだ。少なくとも、WhartonとINSEADで戦略論のクラスを3つ受講した経験からはっきりとそう感じている。

(前置きが相当長くなったが)「ブルーオーシャン戦略」をさらさらっと読んだとき、正直、この理論もポーターに支配された世界の中の一理論なのだろうと思った。コストと差別化を同時に実現するといっても、生産性のフロンティアを上に押しやろうという話なのかと感じたし、何より、「競争のないブルーオーシャンに漕ぎ出せ」というのと、「他社と違うことをしろ」といっているポーターの主張との間に、大した違いがないように思えた。

だが、キム教授の2時間の熱い語りで、どうも話はそんなに単純ではないようだということに気づき始めた。詳しくは後編で(最高に引っ張るエントリーになってるな)。

2009/06/16(火) | MBA(INSEADにて) | トラックバック(0) | コメント(0)

チャン・キム教授によるブルーオーシャン戦略(ほぼ)個人講座(前編)

ブルーオーシャン戦略を実際のケースに当てはめて理解を深めるべく、Wharton/INSEADの混成チームである事例を研究している。スペインからのINSEAD生の強硬論により、その事例が「たまごっち」になったことについては今更何もいうまい。ペーパーはもう実質的に書き上がっているし、何より理解したいのはたまごっちではなくブルーオーシャン戦略だから。

先週、研究の中間報告ということで、ブルーオーシャン戦略の提唱者、チャン・キム(W. Chan Kim)教授との面談の機会に恵まれた。

キム

何でもINSEADにはブルーオーシャン戦略専門の研究所があるというので、この学校におけるブルーオーシャン戦略の存在感をいやでも感じる。さらにINSEADのキャンパスとは大通りを挟んだ向かいにあるその建物は、第二次大戦後NATOの総司令部として使われていた元宮殿なのだとか。フォンテーヌブローには実際にいろんな顔があるが、歴史的に政(まつりごと)の街であったことは間違いない。

建物の中は、すっかり近代的に改装されている。廊下には、世界41カ国に翻訳されているとされる教本がずらり。

ブルーオーシャン2

指定された小部屋でキム教授を待つことしばし。この学校でも別格の存在なのだろう(宮殿に設けられた研究所を取り仕切っているのだから実際にそうなんだろう)、INSEAD生が心なしかそわそわしている。グルとの短い面談を許された信者のようだといっては言葉に過ぎるか。結構なりきりやすい珈琲男も、もちろん入信したての信者の心持ちで待つ。

ふらっとキム教授が部屋に入ってこられる。一瞬メンバーに緊張が走る。想像していたよりもずっと小柄で、物静かで、東洋の穏やかな僧侶のような第一印象。これまでの研究の報告を静かに聞かれ、こちらからの質問には丁寧に答えて下さる。

こちらの準備にはある程度満足してもらったのだろう(希望的観測)。折角の機会だからと、たまごっちの話題には早々に切りをつけ、ブルーオーシャン戦略の何たるかについて、結局2時間余りも語って下さった。

その内容がめちゃくちゃ面白かったから、それは続編で。

2009/06/16(火) | MBA(INSEADにて) | トラックバック(0) | コメント(0)

フォンテーヌブローの森でフランスを(少しだけ)感じてみる

以前フォンテーヌブローの森での怖い体験を書いたが、先週末に実際に足を踏み入れてみた。「アーリーがいない!」という珈琲Jr.の一言で森の脇に車を停めたのをきっかけに、なんだか森に入ってみたくなって車を降りたというわけ。ちなみに、「アーリー(Early)」とは珈琲Jr.の愛犬で、彼がそれがぬいぐるみであることを完全に認めたのはかなり最近のことだと思われる。

車で走り抜けるだけでは気付きにくいが、森が人間の管理下に置かれていることがよく分かる。森の中には道があちらこちら整備されている。車道もあれば歩道もあるが、どれもがほぼ真っ直ぐだ。基本的に平らな森だから、地形に合わせて道を通す必要がないのだろう。森林の管理について詳しくないが、所々に枝を払ったり木を間引いたような形跡も見られる。日本の古い森と比べると随分と若い森だという気がするが、実際にはどうなんだろうか。休日だからか、森に入っている人が随分と多い。近所の人々にとっては、散歩道であり、家族での憩いの場であり、それから単なる気分転換の場なのだろう。

森

森2

森1

そうはいっても、豊かな森であることに変わりはない。様々な鳥の声がこだましていて、珈琲Jr.を興奮させていた。歴代の王族の狩猟場だったこの森には今でも秋になると狩りを楽しむために訪れる人がいるとも聞くから、動物だってそれなりにいるのだろう(今回は遭遇しなかったが)。雨も随分降るのだろう(実際にフランスに来てから雨の日が多い)、あちらこちらに苔の美しく濃い緑が輝いていた。(苔を美しいと思うのはどの程度ユニバーサルなんだろうか?)

ちなみにこの森の広さは250k㎡。東京都港区が20k㎡。鎌倉市が40k㎡。大阪市でやっと220k㎡。これだけの広さの森をこれだけの状態に管理するというのは、何世代にもわたる相当な意思の強さと広い社会的コンセンサスを要することに違いない。

フランスに来てから感心するのは、どこにいっても同じノリで土地や建物が管理されていること。郊外の豊かな農耕地帯にしろ中世以降の古い街並みにしろ、私有・共有財産の取り扱いを決して所有者の自由意思に委ね切ってしまわない。共同体としての理念と意思がまずありき。

アメリカと何かとぶつかることの多いフランス。この国が依って立つものを、このひと月でほんの少しだけ感じ始めた気がしている。

2009/06/11(木) | フランスの夏 | トラックバック(0) | コメント(0)

 |  HOME  |  »