フランス中を巡る長い旅の途中。今はプロヴァンスに逗留している。乾いた、美しい土地。青すぎる空と海。
ここしばらく、円とユーロが固定相場制に移行することが世間をにぎわしている。巷では、今の1ユーロ=135円程度から多少ユーロ高になるものと見られている。
珈琲男は面白い立場にある。この旅を続けたままの状態で、同時に新しい為替レートを決める日本とEUの委員会にも属しているのだ(夢のなかの状況設定はいつも突然かつめちゃくちゃだ)。
しかし、実際にはこの委員会には一切出席していない。だから、委員会での議論は、一切承知していない。委員会の仕事をしないことを、誰からも咎められることはない。そして、旅を続けながら、この委員会の正式なメンバーではあり続けている。
今日はその為替レートが初めて公式に発表され、同時に発効する日。
一応委員会のメンバーだから、発表の場となったプロヴァンスの教会に足を運ぶ。太陽が燦々と降り注ぐ、開放的でとても大きな教会。委員会のメンバーが勢揃いしていて、みんな白の麻のスーツできめている(と、自分もそれを着ていることに気づく)。
久しぶりに会う委員会のメンバーの日本人とは、やや遠慮がちにぎこちない挨拶を交わす。全く委員会には顔を出さなかったわけだから、一応ばつが悪い(ことになっている)。
横では、メンバーの一人である日本人が、「さっき、少しユーロを買っておいたんだよね」とにやついている。珈琲男はここで初めて、実際に多少ユーロ高になることが決まったことを察する。この日本人の話しぶりからすると、1ユーロ=140円くらいになるようだ。しまった、ユーロを買っておけばよかったと、ここで自分の不明を反省する。
委員長が、記者に囲まれながら、正式レートを発表する。
「本日より、1ユーロを200円とする。」
教会中がどよめく。と、同時に、みんながユーロを少しでも早く買うべく(為替レートが実際に世間に認知されるまでにはほんのしばらく時間がかかる、ということになっている)、携帯で外の人間と大声で話しながら、全速力で教会のドア目がけて走り出している。委員会のメンバーもあわてふためいて走っているから、彼らにも全く意外な発表だったらしい(じゃあ、何の委員会だったんだ、というつっこみはある)。
珈琲男も急いでユーロを買うべく、教会の大きな階段を駆け上がる。
と、ふと、思い直す。
これまで1ユーロ=135円程度で散々フランスを楽しませてもらった。だから自分は、みんなが今から享受するかも知れない為替差益を、もう先取りして受け取ったということではないか。お金としてではなく、もっとありがたい形で。
走るのをやめたところで、目が覚めた。
2009/07/04(土) | フランスの夏 | トラックバック(0) | コメント(0)










































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