私のブログを通じて知り合った、
数学者のHさん。この夏からとある独立行政法人のプログラムにより、ペン大で応用数学の研究をされている。Hさんがフィリーに到着されたときに家具やら食材やらを買い揃えるのを私がお手伝させていただいたお礼にと、昨晩珈琲一家を夕食に招いて下さった。
Hさんの研究テーマは、
「シャノン限界」といわれる情報通信理論。情報通信にこれまで関わってきたにも関わらず、
クロード・シャノンなる人物の名はHさんから初めて聞いた。いそいそとwikiしてみたら、「
情報理論の父」、とある。うーん、ここにいると自分の無知がだんだん表面化するなあ。それ自体はむしろとてもいいことだと、一応ポジティブに考えるようにしているが。
Hさんとの夕食に先んじてこの本で予習を、と思ったが、最初の数ページでアタマが固まったため、速攻で本棚の奥へ。
お酒が大好きだというHさんは、ビールから赤ワインに切り替わったあたりで紙とペンを取り出して、こっちに来てから関心がむくむくわいてきたという、
「Newtork Coding」なる研究分野を紹介してくれた。
珈琲男さん、これはこれからの情報通信を変えるくらいのインパクトのある話ですよ、というHさんの目がマジだ。横では珈琲Jr.とHさんの二人の小さな男の子がブロック遊びに興じている。しかしHさん、酒を飲むのが結構早い。
今のインターネットを支えるパケット通信の仕組みについては、珈琲男もさすがにごく概念的には分かってるから、それと要は何が違うのか、という形式でざくっとでも丁寧に教えて下さる。
「SからR1とR2に対して、α+βという情報を送りたいとするでしょ。そうすると、いままでは各ノードでαとβをそれぞれ個別に転送して最終的にそれをくっつけてα+βとしてR1とR2が受け取ってました、と。でも、それはこの方式が考え出された当時のノードの機器の処理能力を前提に最適化されたモデルだともいえるわけです。じゃあ、その処理能力が格段に高まった今では、別のより効率的なやり方があるんじゃないかと。例えば、各ノードにおいて、αとβをそれぞれ個別に転送するのではなくて、
α+βとして転送する、とか。network codingという研究分野では、こうした情報のより効率的な伝送方法を扱っています。話は単純に聞こえるかもしれないけど、
これが超大規模のネットワークになったら、最適解はなかなか分からないんです。これを数学的に解いたら、いや、まじですごいことなんですよ。」


話を聞いてて、正直興奮してしまった。
研究のテーマ自体はざっくりと分かった。が、理論自体は多分これからも理解できそうにない(笑)。ただし、その理論の実ビジネスにおけるインパクトは、まだほとんど想像できないけど、話をもう少し伺えば体で感じられる気がする。とても面白いことに、Hさんの説明を理解しようとするその同じアタマで、
これが競争戦略論的にどういう意味があるのか、ということを同時に考えようとしている自分がいた。
Hさんは、今度は外で飲みながら話しましょうよといってくれた。いやはや、何ともありがたい環境にいるものだ。Hさん、是非よろしくお願いいたします。
注:「Network Coding」に関して内容に不正確なところがあったら、全て珈琲男にその責任があることを予めお断りしておきます。