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インターネットの規制をめぐる考察(3)

前々回のエントリーのコメント欄に、Daiquiriさんから「エンドツーエンド」の原則と「ネット中立性」の規制の議論って分けて考えられるのでは?」という趣旨のコメントをいただいた。せっかくだから、その問いから考えを広げてみようと思う。

まずは、逆に、「エンドツーエンド」と「ネット中立性」を組み合わせて議論する人たちの主張を想像してみたい。実はこの2つは非常に親和性が高い。ごく単純にいってしまいえば、こんなところだろうか。(なお一応念のため、これは「エンドツーエンド」と「ネット中立性」を組み合わせるとすればこういうロジックになるだろうという珈琲男の想像で、誰かの具体的な主張を引用しているわけではない。)

● エンドツーエンド原則を守るということは、ネットワークをシンプルに保ち、ネットワーク内部に過度な知性を与えることを拒否することを意味する。ネットワークに知性がなければ、そもそもネットワークがアプリケーションやコンテンツを差別することは技術的に起こりえない。従って、エンドツーエンド原則こそネットにおいて中立性を担保するための技術面での基礎となる考え方である。

● ただし、「エンドツーエンド」原則は法律でもなんでもない。一応インターネットに関わる少なからぬ人々の「信念」なり「規範」にはなっているけど、別に法的な強制力はない。だからこそ、アプリケーションやコンテンツが差別的に取り扱われないように「ネット中立性」の規制を設け、中立性の技術的な担保のために、「エンドツーエンド」原則に基づくネットワーク設計のポリシーを当該規制のなかに盛り込む必要がある。

ちょっと頭の体操で、いただいたコメントを正面から考えてみようと思う。「エンドツーエンド」原則を守るかどうかと「ネット中立性」規制を設けるかどうかを、合計4つの組み合わせで考えてみる。それぞれ何を主張することになるか。一応ある程度現実感のある議論のために、

「エンドツーエンド原則を守る」とは、少なくとも現時点でインターネットに一般的に実装されている以上のコントロール機能を「ネットワーク層」と「トランスポート層」(=合わせてほぼレッシグのいう「コード層」に相当する)に一切盛り込まない、というネットワーク設計上のポリシーをネットワーク提供事業者が(自主的に)守ること

「ネットの中立性の規制を設ける」とは、既存の法律・規制の規定の枠組みを超えて、ネットワーク提供事業者が利用者、アプリケーション、サービス、コンテンツ毎に異なった取り扱いをすること一切を事前に規制すること(ただし、現在の議論の主流がそうであるように、ネットワークの運用を管理するための最低限のコントロールまでは規制しない)

をそれぞれ意味することにしてみよう。

A: e2e原則を守る/ネット中立性の規制を設ける
これは概ねレッシグ教授らの主張に近い選択肢だといえる。ネットワークの(「コード層」の)設計は引き続きシンプルにして過剰なコントロール機能を盛り込まない。さらに、ネットワーク事業者によるアプリケーション等の差別的取り扱いを規制する。規制の具体的な枠組みはいろいろ考えられるが、ネットワークの具体的な設計ポリシーにまで踏み込んでエンドツーエンド原則を強制することまでを視野に入れることもあり得る。「コード層」が「イノベーション・コモンズ」を作っているから、コード層がフリーな状態に保たれるように(国が)規制すべき、というレッシグの主張は、本質的には、エンドツーエンド原則の根本的な考え方をネットワークの基本設計として法的に強制すべきといっているのに近いものだと考えられる。この選択肢は、ネットワーク事業者がアプリケーション等に異なった取り扱いをすることを最も確実に排除するものだといえる。

B: e2e原則を守る/ネット中立性の規制を設けない
ネットワークの設計ポリシーとしてはe2e原則を尊重して現在のインターネットに実装されている以上のコントロール機能を盛り込まないこととする。ただし、ネットの中立性の規制は設けない。極論すれば、(既存の法律や規制が許すかぎりにおいて)ネットワーク事業者がアプリケーションやコンテンツをネットワーク上において異なる優先順位で取り扱ったり、ネットワークの利用について異なる料金を課しても構わないこととする。この場合、そのようなネットワーク提供事業者のビジネス上の意図の実現は、e2e原則が遵守される限りにおいて技術的にかなり制限されることになる。一方で、e2e原則は法的に強制されるものではない。従って、ネットワーク事業者は、その利益に適うかぎり、(e2e原則から外れるコントロール能力をネットワークに実装することにより)アプリケーション等を異なる優先順位で取り扱う可能性がある(もちろん既存の法律・規制の枠組みにおいて)

C: e2e原則を守らない/ネット中立性の規制を設ける
ネットワークの設計ポリシーとして、現在インターネットに実装されている以上のコントロール能力を技術的に与えることをよしとするが、規制によりネットワーク提供事業者がアプリケーション等の優先的な取り扱いを禁じる。ネットワーク提供事業者は、アプリケーション等を優先的に取り扱うような事業の展開をそもそも規制されているわけだから、それを実現するための技術開発にそれほど熱心にならないだろう。従って、結果としてe2e原則が守られることになるだろう。Aと同じような結果になるが、その技術面での縛りが相対的に緩いという選択肢だといえる。ネット中立性提唱者の最も重要な人物の一人として知られるコロンビア大学のTim Woo教授は、e2e原則を守らなくてもいい、とまではいっていないものの、e2eはあくまで原則(principle)に過ぎないといっていることからすれば、このカテゴリーに入れてもいいかも知れない。

D: e2e原則を守らない/ネット中立性の規制を設けない
実はこれがYoo教授の立場。ちょっと長くなったから、その主張の内容はまた次回に。

もう秋学期は残すところこのクラスの試験だけだから、一日中でもこんなことを考えていられる。

(続く)
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2009/12/15(火) | インターネットの規制をめぐる考察 | トラックバック(0) | コメント(0)

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