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インターネットの規制をめぐる考察(10)

前回示したネットワークの中立性とネットワークの多様性の議論の直接的な対立以外に、Yoo教授が実は何よりも重視しているのは、ラストマイル(アクセスネットワーク)における競争環境の実現だ。

実は、ネットワークの中立性の議論が生じているのも、そもそもの根本的な原因はアクセスネットワーク事業者の市場支配力が強過ぎることだ。つまり、仮にラストマイルの提供において競争環境が実現していれば、アプリケーションやコンテンツを差別的に取り扱ったところで大した問題にはならないわけだ。新聞と一緒で記事や論調が気に入らなければ別の新聞を購読すればいいというのと同じ話。

Yoo教授のネットワークの中立性における最も大きな懸念は、ネットワークの中立性が既存のラストマイルの競争環境を固定化する可能性だ。中立性論者は既存の競争環境が今後も継続するのを前提にどう支配的事業者に差別的な行為をさせないかという発想をする。支配的事業者の差別行為は事前規制されるが、新規参入のインセンティブはなく、十分な競争環境の欠如という根本的な問題は中立性規制が継続する限り解消しない。これに対してYoo教授は逆に、ネットワークの多様性を認めることで新規事業者がラストマイル市場に参入することを強く期待する。

Yoo教授が特に注目するのはDSL、ケーブルに続く第三のプレーヤー、無線提供事業者だ。Yoo教授のオフィスを訪ねていろいろ二人で話し合ったときに面白いなと思ったのは、"contestability"、"contestable market"という考え方だ(ここまで来ると日本語で何というか知らないな)。この理論は独占市場の規制についてしばしば言及されるらしいが、市場への参入障壁とともに退出コストに注目する。完全な"contenstable market"とは、参入と退出において何ら障壁のない市場を指す(この場合、"fit and run" entryが可能。ヤリ逃げ、とでもいうのか)。特に注目されるのは参入にあたって投じる費用が埋没費用(sunk cost)にならないという点だ。彼が無線提供事業者に特に注目するのも、無線事業者が新規参入するための投資、すなわち特定の周波数の電波のライセンス取得費用や電波塔の建設は、(固定通信の設備に比較して)市場退出後に第三者が別の用途に使える可能性が高く、従って埋没費用になる要素が小さいからだ。アメリカでは必ずしも用途別に周波数帯を厳しく取り決めなくてもいいのでは、という議論があるらしく(詳しくは知らないが)、仮にそんなことが実現すれば確かに無線事業者の新規参入に際しての投資が埋没費用化するのをかなり防ぐことになるだろう。固定費が埋没費用にならなければ、新規参入に際して獲得すべき顧客数も大幅に減り、それが新規参入を容易にさせる、とYoo教授は熱弁を振るっていた(というか彼はいつでも熱弁だ)。

実際問題として、無線事業でヤリ逃げ戦略が可能だ、なんていわれても、え、ほんまかいな、という反応が容易に想像できるけど、確かに筋は通ってる。仮に全米規模で概ね各家庭がDSL(及び場所によっては光ファイバー)、ケーブル、そして超高速無線を使えるような環境が実現すれば、ネットワークの中立性の議論も大きく変わるだろう。
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2009/12/22(火) | インターネットの規制をめぐる考察 | トラックバック(0) | コメント(0)

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