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インターネットの規制をめぐる考察(12)

最終回にしよう。休みに入って、どうもこの話題も自分に重く感じてきた(笑)。

Yoo教授のオフィスで過ごした1時間ちょっとの中で一番印象的だったのは、自身の信念を現実の政策に反映させようとする彼の姿勢だった。

ネットワーク提供事業者があるコンテンツやアプリケーションを優先的、排他的に取り扱うことをよしとする彼の議論は、現実の政策としてそのまま選択するにはハードルがなかなか高い。規制をできる限り排除して市場メカニズムを活用すればよいとするリバタリアン的な彼の議論は、そもそも市場の失敗の存在を大前提に議論を出発させている中立性論者にはなかなか受け入れられないのもよく分かる。そもそも中立性論者には、巨大なネットワーク提供事業者に対するそこはかとない不信感もある(Yoo教授自身、ネットワークの多様性の議論が十分に受け容れられない原因はここが大きいとも漏らしていた)。さらに、オバマ政権がネットワークの中立性を支持しているのも、彼の戦いを相当難しくしていることだろう。

ただYoo教授は、自身の信念を現実の政策形成プロセスとは程遠いところから吠えたりはしない。いかに自らの信じるところを現実の政策に反映させるかを、現実的に見据えている。外野スタンドから野次るのではなく、フィールドでガチンコの試合をしているわけだ。ネットワークの中立性の議論における試合とは、すなわちワシントンでの政治・政策論争だ。

FCCは2005年に、ブロードバンドサービスの提供における4つの原則を提示した。すなわち、消費者による、(1)合法的なコンテンツへのアクセス、(2)選択したアプリケーションの利用、(3)選択した端末の接続、(4)ネットワーク、アプリケーション、コンテンツの各事業者間の競争からの便益の享受、である。

さらにFCCは2009年10月、この4原則にさらに、中立性(ブロードバンドアクセス提供事業者によるアプリケーション、コンテンツの差別的取り扱いの禁止)と透明性(当該事業者によるネットワークマネジメントの内容の開示義務)の2つの原則を加えることを提案している。

今後のタイムラインは、Yoo教授の話によれば、2010年1月にFCC提案への意見書の提出期限があり、意見書の内容を踏まええた議論が続き、2010年夏頃には何らかの結論が出されるのではないか、ということだった。

彼は、このプロセスにおいて、自身が今暖めている次の論文を具体的にどのタイミングで発表するのが最も効果的なのかを彼のアドバイザーとともに検討中なのだという。普段のクラスでのリラックスした様子とはうって変わり、そんな戦術を話している彼の目に強く光るものが見えた気がした。しかも、そんなことを考えるのが楽しくて仕方ない、という様子だ。

今回のオフィス訪問では、自分が信じることの合理性を突き詰める学者の顔とともに、それを現実の政策に反映しようとする活動家としての彼のもうひとつの顔を見せつけられた思いがした。そして、アメリカのアカデミアの徹底した実学志向をここでも垣間見てしまった。

そうそう。Yoo教授は私が以前仕事でお世話になったワシントンの法律事務所に一時期所属されていたことがあり、ある案件で連日連夜私が電話会議をしていた弁護士さんとも知り合いなんだという。なんとも狭い世界だ。今年夏から日本にしばらく滞在してある大学で講座を持つ予定もあるという。また東京でお会いすることができそうで今から楽しみだ。

(終わり)
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2009/12/25(金) | インターネットの規制をめぐる考察 | トラックバック(0) | コメント(0)

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