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Infosys CEOとのディナーと質問の力

珈琲男が毎回心待ちにしている、Wharton Leadership Lectures。

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今日のゲストは、インドの超有名企業InfosysのCEO、S. Gopalakrishnan氏

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幸運にも抽選に当たり、講演に引き続いての少人数での夕食会にも参加できることになっていたから、もう何日も前から楽しみで仕方なかった。実際、とても学びの多い機会となった。

IT業界に多少の理解がある人なら例外無く知ってると思うが、InfosysはBPO(Business Processing Outsourcing)やソフトウェアのオフショア開発で世界的に有名な企業だ。

また、ピューリツァー賞作家、Thomas L. Friedmanの「The World is Flat」(邦題「フラット化する世界」)でフラット化の具体例として紹介されている企業としても有名だ。

フラット化する世界(上)フラット化する世界(上)
(2006/05/25)
トーマス・フリードマン

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創業は1981年。7名のインド人の若者が、世界に伍するソフトウェア会社になろうという大志のものと、250ドルを投資して起業したInfosysは、その後27年で年商40億ドルの世界屈指のオフショア開発企業に発展した。講演前、インド人の学生と少し話してみたが、インドでは名門一族の血縁関係で支配されている企業が圧倒的に多い中で、血縁関係のない大志を抱いた若者が興した真のベンチャー企業として、非常に尊敬を集めているそうだ。会場を見渡すと、確かにインド人の眼差しが熱い。

講演で最も印象に残ったのは、Infosysが継続的にイノベーションをもたらす仕組みを如何に企業内に取り入れているかという説明。Gopalakrishnan氏曰く、Infosysでは会社内の各部署が何らかのイノベーションを実現することを求められており、その一つの具体例として、一年に2回、そのアイデアを経営陣に提案することが義務づけられているそうだ。その提案が組織毎の予算割りの指標になるそうだから、各組織としても必死になるだろう。また、ここでいうイノベーションというのは、氏曰く、"big idea"であり、ちょっとした業務改善というレベルを指すものではない。各組織が、今の業務の内容をがらっと変えてしまうような"big idea"を常に考えることを求められているわけだ。業界によって想定すべきイノベーションのインパクトとその時間軸は随分異なるわけで、IT業界においては、"big idea"を常に考えていないとすぐに競争のエッジを失うということだろう。うーん、ここは是非ディナーで突っ込んでみたいポイントだと、早速質問を練り始めた。

少し話題はそれる。

Whartonでは、質問する力が非常に問われる。例えば、Leadership Lecturesで講演後に行われるQ&Aでは、学生達は質の高い質問には深くうなずき、逆に質の低い質問には嫌悪感あふれる表情を露骨に示す。以前紹介したGoogleの講演後、知り合いの学生が、あまりにテクニカルな質問をしつこくしていた別の学生に対して、「あんな質問をするのは最低だ。Whartonのブランドを傷つける。」と吐き捨てていた。なかなか質問するのも気をつかうものだ。

質の高い質問とは何か。Whartonでしばらく「よい質問」の何たるかを考えてきた珈琲男の見解はこうだ。それは、形式としては何より短く簡潔で質問者の意図を明快に示していることが最低条件。更に重要なのは質問の内容。それは、質問者・被質問者という二者においてだけではなく、その場の集団全体に新しいインサイトを与え、時には集団全体のアタマに切り替えを促すような質問だ。

質問は、「自らが分からないことを分かるようにするための問いかけ」というレベルを大きく超える機能を備えうるわけだ。ただし、この機能を使いこなすのは容易ではない。まして英語でとなると、ハードルは相当高い。修行は続く。

話題を戻そう。

講演後のディナーには、30名の学生が参加した。Gopalakrishnan氏を取り囲んでしばし談笑の後、10メートルもあろうかという長いテーブルに着席することに。抜け目ない学生達はGopalakrishnan氏が座る席を予測し、その正面の席を確保すべく、最短距離を移動し始める(ただし、あくまで歩みはエレガントに)。全くこいつらは抜け目ない。一瞬出遅れた珈琲男は、椅子取りゲームが下手な子供のよう一席ずつ押しやられ、末席に辿り着く。横に座ったイスラエル人の女の子と目を合わせ、お互い苦笑い。しかしGopalakrishnan氏(右から5人目)までは随分と距離があるなあ。

サイズ変更済みイメージ

ディナーも中盤に差し掛かったところで、次から次へと繰り出される学生の質問の合間を縫って、やっとのことでこんな質問をしてみた。席が離れているだけに、音量にも気をつかう。

「講演中、業務のシステム化の重要性を強調されると共に、創造性やアントレプレナーシップの重要性にも触れられていました。私のなかでは、この二つが対立する概念のようにも聞こえます。この二つを両立するためにInfosysではどういう仕組みを取り入れているのでしょうか?先ほど各部署が年間で2つのアイデアを出すという仕組みに触れられましたが、それ以外に何か秘密があるのですか?」

最後の「秘密」のくだりにはみんながくすっと笑ってくれた。ふとみると、目の前の学生が深く頷いてくれてる。質問としてはとりあえず及第点だったようだ。

Gopalakrishnan氏は珈琲男の目を真っ直ぐ見据えてこう答えてくれた。

「システム化と創造性やアントレプレナーシップが対立するという見解には強く反対します。その二つは両立するし、また、組織はそれらを両立させる方法を模索する必要があります。」

「どんな芸術家も起業家も、一流であればあるほど、discipline(規律)と体系的ににものを見る能力をもっています。物事をシステムとして捉え、そのうえで自らに備わった特別な能力を発揮しています。」


珈琲男としてはもう一歩踏み込んで、システムと創造性・アントレプレナーシップを組織として両立させる仕組みについて聞いてみたかったが、上手く質問を形成できない間に次の学生にさくっと次の質問をされてしまった。Gopalakrishnan氏が次の問いかけを促すかのように一瞬珈琲男の目をのぞき込んでくれたのに、その誘いに瞬時に乗れなかったのが悔しい。自分だけではなく、集団にとっても意味のある質問を対話の形で何度も繰り出していくのは相当難しい。ただ、帰りのエレベーターで一緒になった学生の何人かが、"great question!"と声を掛けてくれたのが嬉しかった。

逆にGopalakrishnan氏からは、学生に対してこんな問いかけをされた。

「皆さんのことに興味があります。最近あなた方が出会ったbig ideaは何ですか?

学生一同、やられた、という表情が浮かぶ。誰かが苦し紛れに「ファイナンスのモデリングですかね」なんて軽口を叩いて皆の失笑を買っていたが、もちろんそれがGopalakrishnan氏の質問に答えていないことは彼自身も分かり切ってる。

Whartonに入学後、ここまでコア科目をガリガリと勉強してきた訳だが、そこには取り立ててbig ideaがあるわけではない。コア科目の習得は、ビジネス系の学問の基礎中の基礎として、世の中に広く認知されたいわば過去の知識の蓄積を効率的に舐めさせてもらっているようなものだと言えるかも知れない(念のために断っておくと、それが無意味だなどということは全くいっていない)。これらの知識は、big ideaを考えるにあたってのあくまで基盤であって、big ideaそのものではない。他の学生がこの問いをどう認識したかは分からないが、珈琲男は、「big ideaを求め続けよ」、というメッセージを、彼がこの問いに込めてくれたんだと思っている。

その他、心に刺さったGopalakrishnan氏の言葉の数々。

"excellence in execution"
アイデアを出すだけでは不十分。その遂行能力が企業の強さを示す。アイデアや概念論が先行しがちな自分にとって、ぐさっと胸に刺さる。

"Leadership is all about paranoid"
1981年以来、7人の若者がこれまでどのくらいクレージーに働いてきたかがこの一言に集約されている思いがする。集団に真に影響を与えるリーダーには、それが表にどのくらい出てくるかは別にして、ある種の狂気がどこかにあるのかな、なんて最近思うことがある。

"Vision which transcends the day to day requirement"
日々要求されていることを遙かに越えたビジョンを持て。

そして、イノベーションの話とともに一番心に残ったコメント。

「私は歴史の本をよく読んでいます。何事もその道の第一人者になるには、その道の歴史を知る必要があります。例えば私のいる世界でいえば、メインフレーム、PC、インターネットといった歴史です。私は、Infosysがこのイノベーションの歴史の一部を形作っているという事実に心躍らせるのです。

ごちそうさまでした。
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2008/11/07(金) | MBA | トラックバック(0) | コメント(0)

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